2017年11月07日

第37回:般若心経講話(鎌田茂雄 講談社学術文庫1986)

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 般若心経を覚えた。

 昔から墓参りのたびに父が唱えているのを聞いていて、いつか自分も暗唱したいと思っていた。
 最近はYouTubeで般若心経の動画もあるので、それを繰り返し聞いている内にそれほど苦労せず覚えられた。YouTube様様である。

 262文字の短いお経の中に宇宙の全てが詰まっており、ただ唱えるだけでも功徳あるありがたいお経なのだが、せっかくなのでどんな内容か知っておくために本書をひもといた。


 そもそも「般若」って何だ?

 これは「智慧」の意である。
 智慧といっても知恵、知識、物知りといったこの世をうまく渡り歩くための賢さとは違う。万巻の書物を読みあさっても智慧には到達しない。滝に打たれても到達しない。断食しても到達しない。しかし一方で食事中でも、掃除中でも、排泄中でも、ネットサーフィン中でも、到達しうる。実に摩訶不思議なモノである。だがそれでいて到達したと思ったとたん指の隙間からこぼれ落ちていくものでもある。

 じゃ、どうすりゃいいんじゃ?

 そう、まさに「どうすりゃいいんじゃ?」を生き抜くことこそ般若の智慧なのである。

 世界は混沌であり、かつ整然である。
 豊かさがあり、貧困がある。
 人殺しがあり、慈愛がある。
 分裂があり、統合がある。
 清濁合わせ飲み、それをそのまま生き抜くことでしか真理には到達しない。そんな矛盾を孕んだ常軌を逸した世界の教えである。

 そして、その矛盾と逆説の教えを一言で表すと「空(くう)」という。

 指の隙間からこぼれ落ちたものを拾ってはまた落とし、拾ってはまた落とし、そしてはたと気づく。
 実は何もこぼれ落ちてなどいないのではないか?
 何を必死に拾おうとしているんだ?

 もし日常という常識の中で汲々とする人生に疑問を感じたら、常軌を逸した世界に一度踏み込んでみても良い。その世界の一端を見せてくれるのが「般若心経」である。

般若心経講話 (講談社学術文庫) -
般若心経講話 (講談社学術文庫) -


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posted by ガウス at 22:00| Comment(0) | 文系紙本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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